能楽の源流は、田楽、猿楽といわれはるか十世紀にもさかのぼります。
日本最古の芸能として、幽玄美を現代に伝えられている大変希有な大変貴重な文化です。
その能楽が、芸術性が高められ進歩し大成していく中で、「能面」がなくてはならないものであった事は、人々の認められるところであり、能楽が一種の仮面劇と呼ばれる由縁です。
何百年という歴史を経た今も、能面の内に秘められた高度な精神性の表現技法に魅了されずにはいられません。
能面は、戯曲、演能者、舞台、観客と共に歩んで育まれてきました。
その凝集された精神の息吹が、日本人の造り出した世界に誇れる文化となったのです。
厳しい美しさを持ち、又「悲哀と微笑」等相反する表情を同時に持つなど、精神的水準の高さ、日本人の美的感覚に触れる時、私達の心に何とも言えない奥深い満ち足りた気持ち、やすらぎをもたらしてくれます。能面は、今現在もなお、息づいています。
世界が技術躍進を続ける中、日本の伝統能楽が再び隆盛を取り戻し、世界に広く浸透されること、伝統文化を守ることを思うとき、能面の果たす役割を私達がお手伝いしたいと思うのです。 古の美を再び実現すると共に、現代の美を創造していきたい・・私どもが、幽玄の世界への道案内となればと思います。 |