天狐面(てんこ)の由来
KYG07-10J

天狐の由来、昔話
 天狐(テンコ)はキツネの中でも取り憑いた者に神通力を与えると言われています。天狐」の由来となりました昔話をお伝え申し上げます。
昔、土地にはたいへん賢くて、いろいろな相談に乗ってくれる産婆がおりましたそうです。この人のところへ行くと、腹痛や頭痛なども、二三言の呪文のようなものを唱えて治してくれたのだそうです。またあるときは、雨が降らず、田畑が干上がり、飢餓の懸念されておりますところへ、なにごとか儀式をやって、何百羽もの小鳥(「雨鳥」と呼ばれます)を従えて、雨雲
を呼び寄せたともいわれております。村の者は、いつも感謝して、お礼に米や野菜を届けたといいます。
あるとき、村の子供が、まだ幼い狐を山から連れ帰りました。親からはぐれましたのか、その一匹の子狐は、まだジャレ盛りで、狩りの仕方もしらない風でございましたので、村ぐるみで餌をやったり、子供たちは一緒になって遊んでおりました。狐の成長は、人間よりも早いもので、すくすくと育ちまして、いつしか人間に化けられるようになったのだそうです。
子狐が化けられるようになりましてからか、村にはさまざまいたずらが起きました。荷車の車輪が折られていたり、畑があちこちほじくり返されたり、厩にいる馬にドロ団子がぶつけられていたりというものでしたが、何度も何度もつづきますので、土地の者も腹が煮えてまいりました。そこで、とうとう、村のおとなたちは狐を強く綯った縄で縛って、山に捨ててきてしまったのです。
子狐の声が、山に反響してか細くなきわたりますのを聞いて、良心がとがめたのでしょう、家々の子供たちが、「いたずらは自分たちがやった、狐はなにもしていない」と白状してまいります。罪のない狐を縛り上げてしまった大人たちは、これは悪いことをしたと、急いで山に戻りますと、そこに、くだんの産婆がおりました。
「村に恩あるゆえに、村に人にと神通力を使ってきた私に、この仕打ち。深く恨みましょう」と、産婆は静かに言うと、たちまちに子狐の縄を解き、自分は大きな狐の姿となりました。産婆は、母狐でございましたのです。
この後、村には、子供ができない、米が育たないなどの災いが起こり、狐にたたられていることを疑うものはいないほどとなりました。そこに、通りかかった旅の修験者が「産婆の住んでいた家を社にし、礼を忘れず、ただただお参りしなさい」と勧めましたので、村人たちは、その修験者に尻尾が生えていたことに幾人かは気づいたようでしたけども、そのとおりにし、鳥居を連ね、酒、米、魚など、自分たちも飢えそうでしたけれどもありったけお供えして、怒りを鎮めたということです。

この狐さま、いまは、農業の神であり、子宝の神であり、健康の神であり、出世の神でもありますが、礼せざる者には深い祟りをも及ぼすものとして伝わります。             
 「文責 片岡酪釜(かたおからくふ)」
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